2020年は新型コロナウイルスによるパンデミックが起こった年として、今後歴史に刻まれることは間違いない。まぁ、公文書偽造を平然と行うこの国の為政者は、ひょっとしたら「新型コロナウイルスに打ち勝った国」として教科書に載せようとするかもしれないけれど。
東日本大震災の後、自民党に政権が戻ってからのこの8年は地獄だったと言える。言葉としての日本語が崩壊し、知性が軽んじられ、モラルは地に落ち、権力におもねった冷笑的態度が“クール”だと思われるようになった。これを地獄と呼ばずになんと呼ぼうか。
普段から反権力・反体制・反分断の観点から読む本を選ぶようにしているが、コロナ禍で外出自粛を迫られた結果、そういった本を読む時間が例年よりも大幅に増えた。読書記録を付けはじめた6月から、今日12月31日までに読んだ本は112冊。読書家と呼べるほどではないにしろ、ひとつひとつの本とじっくり時間を取って向き合えたのは僥倖だったと言える。
私がコロナ禍で読んだ本にどれほどの価値があるのか分からないけれど、備忘録として、またこの忌まわしい2020年という年を忘れないためにも、リスト化しておこうと思う。一応、簡易的に評価もつけておく。印象的な本も数多くあるので、ふと思い立った折に書評を書くかもしれない。
2020年6月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
R帝国 | 中村文則 | × |
厭な小説 | 京極夏彦 | ○ |
希望の国のエクソダス | 村上龍 | ○ |
歴史修正主義とサブカルチャー | 倉橋耕平 | ○ |
街場の親子論 | 内田樹, 内田るん | ○ |
16歳のデモクラシー | 佐藤優 | ○ |
女帝 小池百合子 | 石井妙子 | ○ |
持続可能な魂の利用 | 松田青子 | ○ |
逆ソクラテス | 伊坂幸太郎 | ○ |
ヒッキーヒッキーシェイク | 津原泰水 | △ |
御社のチャラ男 | 絲山秋子 | ○ |
宰相A | 田中慎弥 | ○ |
永続敗戦論 | 白井聡 | ○ |
2020年7月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
人間・この劇的なるもの | 福田恆存 | ○ |
沖縄から貧困がなくならない本当の理由 | 樋口耕太郎 | ○ |
ルポ 百田尚樹現象:愛国ポピュリズムの現在地 | 石戸諭 | ○ |
真実の終わり | ミチコ・カクタニ | ○ |
箱の中の天皇 | 赤坂真理 | ○ |
街場の五輪論 | 内田樹, 平川克美, 小田嶋隆 | ○ |
わかりやすさの罪 | 武田砂鉄 | ○ |
理由 | 宮部みゆき | ○ |
長い長い殺人 | 宮部みゆき | ○ |
悲嘆の門 | 宮部みゆき | △ |
ビッチマグネット | 舞城王太郎 | ○ |
誰か Somebody | 宮部みゆき | △ |
わかりやすさの罠 | 池上彰 | × |
僕の人生には事件が起きない | 岩井勇気 | ○ |
百田尚樹をぜんぶ読む | 杉田俊介, 藤田直哉 | △ |
それを真の名で呼ぶならば | レベッカ・ソルニット, 渡辺由佳里 | △ |
丸ノ内魔法少女ミラクリーナ | 村田沙耶香 | △ |
公文書危機 | 毎日新聞取材班 | ○ |
ワイルドサイドをほっつき歩け | ブレイディみかこ | ○ |
ステップファザー・ステップ | 宮部みゆき | × |
我らが隣人の犯罪 | 宮部みゆき | ○ |
モダン・タイムス | 伊坂幸太郎 | ○ |
コロナの時代の僕ら | パオロ・ジョルダーノ | ○ |
サコ学長、日本を語る | ウスピ・サコ | △ |
ドリーム・ハラスメント | 高部大門 | △ |
人質カノン | 宮部みゆき | ○ |
情報参謀 | 小口日出彦 | ○ |
逃亡小説集 | 吉田修一 | ○ |
2020年8月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 | デヴィッド・グレーバー | ○ |
TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち | 加藤直樹 | ○ |
わたしがいなかった街で | 柴崎友香 | ○ |
ぼぎわんが、来る | 澤村伊智 | ○ |
世界をわからないものに育てること | 加藤典洋 | ○ |
ずうのめ人形 | 澤村伊智 | ○ |
破局 | 高野遥 | ○ |
などらきの首 | 澤村伊智 | ○ |
そして、みんなバカになった | 橋本治 | △ |
真実の10メートル手前 | 米澤穂信 | △ |
同調圧力 | 鴻上尚史, 佐藤直樹 | ○ |
ししりばの家 | 澤村伊智 | ○ |
恐怖小説キリカ | 澤村伊智 | ○ |
やっぱりいらない東京オリンピック | 小笠原博毅, 山本敦久 | ○ |
みんなもっと好きに言ったらいいのに:こんにちは未来 メディア編 | 佐久間裕美子, 若林恵 | ○ |
それを感じているのは私だけじゃない:こんにちは未来 ジェンダー編 | 佐久間裕美子, 若林恵 | ○ |
ブラックボランティア | 本間龍 | ○ |
電通巨大利権 | 本間龍 | ○ |
女と男 なぜわかりあえないのか? | 橘玲 | △ |
「南京事件」を調査せよ | 清水潔 | ○ |
全体主義の克服 | マルクス・ガブリエル, 中島隆博 | ○ |
日本のものづくりを支えたファナックとインテルの戦略 | 柴田友厚 | ○ |
2020年9月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
街場の読書論 | 内田樹 | ○ |
日本語を取り戻す | 小田嶋隆 | ○ |
2020年10月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
長期政権のあと | 山口二郎, 佐藤優 | ○ |
日本習合論 | 内田樹 | ○ |
忖度しません! | 斎藤美奈子 | ○ |
時代の抵抗者たち | 青木理 | ○ |
日本人のための平和論 | ヨハン・ガルトゥング, 御立英史 | ○ |
ざらざらをさわる | 三好愛 | △ |
災間の唄 | 小田嶋隆, 武田砂鉄 | ○ |
ロスト・ケア | 葉真中顕 | ○ |
絶叫 | 葉真中顕 | ○ |
2020年11月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
ひきこもれ | 吉本隆明 | × |
本音の置き場所 | バービー | △ |
ブロークン・ブリテンに聞け | ブレイディみかこ | ○ |
日没 | 桐野夏生 | △ |
コクーン | 葉真中顕 | △ |
中古典のすすめ | 斎藤美奈子 | ○ |
日本沈没 | 斎藤美奈子 | ○ |
コモンの再生 | 内田樹 | ○ |
蒼い時 | 山口百恵 | ○ |
悲劇的なデザイン | ジョナサン・シャリアート | ○ |
ポストコロナ期を生きる君たちへ | 内田樹(編) | ○ |
ボラード病 | 吉村萬壱 | ○ |
くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話 | ヤマザキOKコンピュータ | ○ |
社会を変えるとは | 小熊英二 | ○ |
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を | 小川たまか | ○ |
株式会社の世界史 | 平川克美 | ○ |
教養としての「中国史」の読み方 | 岡本隆司 | ○ |
Black Box | 伊藤詩織 | ○ |
日本の同時代小説 | 斎藤美奈子 | ○ |
2020年12月
書名 | 著者 | 評価 |
---|
私とあなたのあいだ –この国で生きるということ | 温又柔, 木村友祐 | ○ |
推し、燃ゆ | 宇佐見りん | ○ |
オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る | オードリー・タン | ○ |
ババヤガの夜 | 王谷晶 | ○ |
想像ラジオ | いとうせいこう | ○ |
JR上野駅公園口 | 柳美里 | ○ |
街場の天皇論 | 内田樹 | △ |
「色のふしぎ」と不思議な社会 –2020年代の「色覚」原論 | 川端裕人 | ○ |
アフターデジタル | 藤井保文 | ○ |
ちゃぶ台 vlo.6 | ミシマ社 | ○ |
私をくいとめて | 綿矢りさ | ○ |
アフターデジタル2 | 藤井保文 | ○ |
ゲンロン戦記 | 東浩紀 | ○ |
おれの無関心なあなたを傷つけたい | 村本大輔 | ○ |
さよなら、男社会 | 尹雄大 | ○ |
すべての雑貨 | 三品輝起 | ○ |
週刊だえん問答 コロナの迷宮 | 若林恵 | ○ |
FAKEな社会 | 森達也 | ○ |